“Where there is a Will, there is a Way”

【実務者必見】ガントチャート作成の5ステップ


今回は「ガントチャート」というビジネスシーンで非常に役に立つプロジェクト管理ツールをご紹介したいと思います。

プロジェクトを遂行する上で、抜け漏れのないタスク管理やスケジュール管理はとても重要です。



これからプロジェクトマネジメントに携われる方や、プロジェクトを担当される方に、是非ご一読いただきたい内容をまとめました。



これまで国内外の複数プロジェクトを担当・完了してきた私の実感も込めてご報告したいと思いますので、是非、ご活用ください。

ガントチャート(Gantt Chart)とは



ガントチャートとは、プロジェクト管理の手法で、作業工程やスケジュール管理のために用いられる、いわゆる工程管理表のことです。

タスクやToDoを網羅でき、プロジェクトの進捗具合を視覚的に把握・共有できるため、人気のあるツールです。



若かりし日(今も永遠に若いですが)、この言葉を初めて聞いたときは「ガン・チャート」と勘違いし、当時の上司から「トが抜けてるよ」と指摘され、ちょっぴり恥ずかしい思いをしました。
「知らぬは一時の恥」、レベル(超初歩)を見抜き指導してくれる上司は大切です。



ちなみに豆知識ですが、ガントチャートの意味は、考案者である米人コンサルタント、ヘンリー・ガントさんの名前に由来するのだそうです。



ガントチャートの目的(3つ目が特に重要)


プロジェクト全体感の把握


ガントチャートを作成することで、プロジェクト(以下、PJ)のゴールに対する道筋・段取りを立てることができます。また、その策定段階で、計画の妥当性(納期や工数)を確認することができます。



管理者目線での全体感把握は言わずもがなですが、実務者目線でもメリットがあります。


担当者は目先の課題に一生懸命になり、よく全体を俯瞰して見ることを忘れてしまいます。そんな時、ガントチャートに目を落とすと、このPJにおける、今の自分の業務の位置づけや価値を再確認することができ、モチベーションを維持することができます。



また、複数部署や拠点、会社間に跨ってPJチームを組むことも多いと思います。(営業部、法務部、経理部、等)そのように、関係者が多いときにも、誰がどのような役割をアサインされているのか、いつ何をすればいいのかを一目瞭然で共有することが可能です。



プロジェクトの進捗管理


各タスクの進捗について、予定通り実績が積みあがっているか、断面(タイミング)ごとに実態把握することができます。


例えば、週次MTGでの進捗管理にガントチャートを用いていれば、今誰が何をしているのかの情報に基づき、進捗や困りごとを確認してフォローすること(PDCA)ができますし、このタスクが終わったら、次は誰が何をするのかをPJメンバー全員が把握することができます。



プロジェクトの主導権を握る


実は、これが一番大事ではないかと、個人的には思っています。


ガントチャートは上司や他人があなたを管理するために作ってくれるものではありません。



プロジェクトを成功させるために、自分がイニシアチブを執り、関係者を動かしていくためのツールだと思っています。



またPJメンバーは同じ目的を持つ仲間ですが、すべての利害が一致しているとは限りません。(いきなりブラックですみません。)社内でも部署によってプライオリティは異なりますし、他社とのPJであればなおのことです。


もちろん、各大項目のタスク内訳は、担当部署や関係者といったその道のプロに任せます。が、方針やスピード感にはあなたの意見をどんどん発信していきましょう。


ガントチャートの更新についても、メンバーに任せて更新が疎かになることもあるかもしれません。あなたが責任をもって更新することで、リーダーシップ・主体性を見せつけましょう。



プロジェクトを「あなたが最も望む形で」成功させるためにも、プロジェクトの主導権を握りましょう。他人にオールを握らせてはいけません。




ガントチャートの作り方 5ステップ



「自分で作ることが大事」と言いましたので、作るときの注意点を述べていきます。

ガントチャートの建付けと心得



※EXCELにて自分でひな形を作成してもよいと考えておりますが、0から作るのは少し骨が折れます。もし時短目的やクラウド情報連携をされたい方は、下記、管理ツールサイトBacklogでもガントチャートのテンプレートがありますので、活用してみてください。(30日間の新規無料トライアルができます。)

Backlog(バックログ)|チームで使うプロジェクト管理・タスク管理ツール
Backlogは、業務を可視化して、チームのコミュニケーションの促進を目的としたプロジェクト管理ツールです。シンプルな操作性と親しみやすい見た目で、開発者だけでなく、デザイナー、マーケターなど、チームで働くすべての人が使えるのが特徴です。



【構成】

▼縦軸にタスク作業内容を記載

「ツリー構造」のイメージです。私の場合は、「タスク」を大項目・中項目・小項目もしくは親項目・子項目と分類をして記載することで整理しています。また、その横に「担当者」や「予定(開始日・完了日)」「実績(開始日・完了日)」の欄を設けます。


▼横軸に日付などの時間軸を設定

「予定(開始日・完了日)」「実績(開始日・完了日)」をチャート(横棒)で表します。横軸の単位は、「日」「週」「月」など、プロジェクトの長さによってスケールを変えます。



【心得】

開き直るわけではないですが、初めから完璧なストーリー・タスク構成はできないと思った方がいいです。PJメンバーが全員各分野の経験豊富な百戦錬磨だとしても、初めからすべてのパラメータ(個人能力、スキル、工程間の連携、タスク優先順、バッファ、法令変更)を網羅した計画を作成することは難しい、というか、できません。

現に、私が担当したいくつかの海外PJでも、新たな交渉の切り口が追加されたり、法令変更、政府当局対応で問題点が増えたりと、大手コンサル会社や現地コンサル会社ですら想定していなかったタスクの追加で、スケジュール変更を余儀なくされたことがあります。

ただし、そこもガントチャートの使い様(腕の見せ所)で、項目の追加が容易であり、予定と実績の乖離とその理由が明らかに見せることで、軌道修正や関係者説明に活用できるという強みもあります。

当初設定時は、大きな流れを意識し、タスク・スケジュール設定はある程度のところで割り切ること、実態に応じて、進捗管理の中で補正していくこと、を前提とすることが大切である。


タスクを抽出する



基本的には、ノウハウや経験からタスクを抽出することになります。特に契約関係や当局手続き、監査関係は専門分野担当者の知識が必要です。必ず各分野メンバーにタスク洗い出しをしてもらうようにしましょう。ここで大事なのは、あなたがすべてを背負う必要はなく、各メンバーにしっかりとやってもらうことです。餅は餅屋です。



次に、タスクの実施順について、依存関係を整理します。依存関係とは、あるタスクが完了しないと次のタスクが進められないという関係性にあるものです。

例えば、料理で言うと「ネギを購入」しないと「ネギを切る」ことができない。配当で言うと「会計監査」を終え、「株主総会での決議」を経ないと「配当金送金」できない、という風に、前工程が後工程の条件になっているものには、その順序に注意しましょう。


時間軸を決める


時間軸(マイルストーン)を決める要素は、「納期」と「工数」です。

「納期」すなわち、期日が設定されている場合は、それに間に合うよう、スケジュールを組む必要があります。間に合うか合わないかを左右する要素が「工数」となります。

「工数」とは、ある作業(タスク)を終えるために必要となる人と時間 のことです。

工数を見積もる方法は、過去の類似案件を参考にザックリ算出する場合や、項目毎の成果物を詳細な作業に分解し、作業ごとに工数を見積もって積み上げる場合があります。

まずは前者でゴールに向けた大きなスケジュールを策定し、項目毎の積み上げ時間と照合していくという方法がおすすめです。


その際、1項目に要する工数が長すぎる場合(全体期間によるが、2週間以上等)、改めて、分割・タスク分解をするようにしましょう。

理由は、管理者や他PJメンバーがその間の進捗が変わらなくなってしまうことを避けるためです。


また、バッファ(調整代)の取り方ですが、「各項目(タスク)にまぶす」方法がいいのか、「最後にまとめてとる」方法がいいのか。悩むところだと思います。

おススメは、バッファは「最後にまとめてとる」です。各項目にまぶすと、結局、項目毎でバッファを使い果たしてしまう結果になることが多いです。

進捗管理時には、できるだけ時間の余裕はないように見せ、期日を少し早めに設定するのが、スケジュールを維持する秘訣となります。



担当者をアサインする




社内のPJチームであれば、各部署からの専門家を招集することになると思います。場合によってはそこで初めて一緒に仕事をすることになる方もいるでしょう。社内の横のつながりを作る絶好の機会ですので、積極的に取り組みましょう。

さて、担当者アサインの際には、できるだけ、個人の専門性や能力、このPJに割ける工数、業務形態などの前提情報を収集しておく必要があります。(スキルアンマッチや工数不足を防ぐため)


社外の場合は、その担当者がこのPJに前向きな方であることを祈るしかありません。。
しっかり信頼関係を築ければ一生モノの人脈になると思いますので、いつも通り真摯な姿勢で臨みましょう。



タスクに対して、人を割り当て、見積工数に応じて、時間軸を入力し、実現可能性を検証していきます。各担当者に対して、同期間にタスクが割り当てられないよう注意しながら優先順位を意識して設定しましょう。ある程度この検証を繰り返して時間軸とアサインが確定することになります。



工程管理とリバイス




いくら慎重に計画を立ててもその通りに進むことは滅多にありません。少なくとも私の経験上はありません。


したがって、進捗管理の中でタスクやスケジュールを補正するする必要がありますが、ガントチャートは補正のしやすさにも優れたツールとなっております。(行追加でタスク追加可能、予定・実績の可視化)



PJ全体のスケジュール補正については、PJの最優先事項に応じて考え方が変わってきます。例えばあるイベントに向けた会場建設のように納期最優先PJなのか、それとも、とことん適正価格を交渉したいM&A案件なのか。前者の場合は、能力増強(人員増やアウトソーシング)等の挽回策でキャッチアップする必要がありますし、後者の場合は、別方法での企業価値算出といった工程が追加されるかもしれません。

このように、リバイスの過程では、ゴールにおける優先順位を常に意識した打ち手を講じることが大切です。



最後に...




今回は、プロジェクト管理のツールとして「ガントチャート」を紹介しました。



文中でも述べましたが、志をともにするプロジェクトメンバーとの成功体験はかけがえのないものになります。



是非、ガントチャートを活用して、主体的にプロジェクトに参画、マネジメントし、周囲のサポートをうまく引き出して、目標とする成果物を生み出してください。



あなたとメンバーのプロジェクトの成功を祈ります。




やまと

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